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ブーストプレッシャー低下に伴う出力低下の行方/ベンツG350d

2022年12月13日

チェックエンジン警告が点灯して、エンジンの加速出力も低下している症状にて、修理ご入庫頂いた、W463Aモデル/ベンツG350dの診断です。

 

エンジンコントロールユニットのDTC(故障コード)を確認すると、ターボチャージャーのブーストプレッシャー低下を検知しています。

 

まずはブーストプレッシャーコントロールのプレッシャートランスデューサの制御点検を実行し、ブーストプレッシャーコントロールフラップのバキュームアクチュエーターの機能を確認します。

 

しかしXENTRYにて制御作動を実行しても、バキュームアクチュエーターからのリンケージが全く動いていないことが発覚

 

実際のバキューム測定を行っても、アクチュエーターへのバキューム供給が皆無な為、トランデューサのメインバキュームを確認します。

 

プレッシャートランスデューサはインテークディストリビューターの下側にマウントされている為、水冷式インタークーラーをエンジンより外してアプローチ

ここまで点検を進めた結果、XENTRYにてトランスデューサ制御を正常に作動させても、肝心のメインバキュームの負圧がトランデューサに供給されていない状態と判明。

 

いくらアクチュエーターやトランスデューサが正常であっても、そこに供給されるべき負圧が無ければ制御動作をする分けが無いのは明白。

メインバキュームは、クランクケースに導かれているブレーキブースターラインより分岐配管され、各トランスデューサに導かれます。

 

この車両 さらに調べた結果、ブーストプレッシャーのコントロールトランスデューサだけでなく、他のトランスデューサバキューム等にもバキュームが供給されていない状態と判明。

しかしブレーキブースターへの負圧(バキューム)は発生しているので、このブースターライン分岐配管部で負圧が途絶している状態と判断できます。

 

クランクケースの取付部にあるフィルターのような部位を確認すると、ディーゼルオイル等の汚れが酷く堆積している状態。

 

その為、メインの太いブレーキブースターラインの負圧は供給出来ても、分岐されたトランデューサバキュームラインへの負圧は、その堆積物等の詰まりにより供給出来ていない状態と判明。

このラインを交換すれば、おそらく正常なバキュームがトランデューサに供給されることにより、ブーストプレッシャー値も復元すると考えられますが、この状態であれば期間が経過すれば同じく再発すると考えられます。

 

…と考えていたら、今年の春(令和4年3/31届出)に発表されたリコールの内容に酷似していると判明。

軽く文献を眺めただけでは「クーラントポンプの軸受けシール」の不適切云々で、あまり関係ないように思えるのですが、その影響によって負圧回路への冷却水侵入→関連部品が作動不良…。

 

問合せした結果、今回のW463Aはもちろんこのリコール対象車で、尚且つ未対策車両と判明。

ここまで分解して点検して…少しアレですが…このリコールによる原因が濃厚と考えられるので、元に組立て戻して正規ディーラーにてリコール作業…です(おそらく関連部品の不具合もリコールにて無償交換になると思います)

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